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2003 年度 実績報告書

ゴキブリ高次嗅覚情報処理ニューロンに学ぶ匂い識別・学習のしくみ

研究課題

研究課題/領域番号 15770046
研究機関北海道大学

研究代表者

西野 浩史  北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (80332477)

キーワード昆虫 / 嗅覚 / 触覚 / キノコ体 / 前大脳 / 側葉
研究概要

自然界に存在する匂いの多くは複数の揮発性化学物質が特定の比率でブレンドされたいわゆる複合臭で、匂いの種類は無限にあると言って良い。このような複合臭が有限数のニューロンによるネットワークにより"ひとつの匂い"として認知され、他の匂いとどう識別されるのかは神経科学に課せられた命題のひとつである。本研究では極めて優れた匂い識別能力をもつゴキブリをモデルとし、脳内にある高次嗅覚処理ニューロパイル(キノコ体)の出力側に位置するニューロンの匂い応答を細胞内記録し、その形態を蛍光色素の注入により同定した。
高次嗅覚情報処理ニューロンの匂い応答は時間軸上において単純なスパイクバーストによって形成される初期相と複雑なスパイク増減パターンを示す後期相の2相により表現される。異なる匂いを与えると初期相のスパイクバーストの頻度が、後期相においてはそのスパイクの発火パターンが変化することがわかった。またこれら2つの相の形成に触覚葉からキノコ体に投射する異なる2タイプのニューロンが寄与していることをつきとめた。さらにキノコ体の出力側のニューロンの終末領域が処理する感覚モダリティーの違いによって異なることを発見し、側葉が従来知られていたような散逸構造をとるのではなく、むしろ高度に区画化された複合ニューロパイルであることを明らかにした。
さらにニュージーランドに生息する原始的な昆虫であるウェタの一次匂い処理中枢(触覚葉)の構造を精査したところ、従来コオロギ目では全く知られていなかった性フェロモンを処理する糸球体が特化しており、ゴキブリ同様、性差識別を嗅覚に依存している可能性が示唆された。
以上、研究は当初の計画通りに進行しており、これらの成果の一部はすでに国際シンポジウム、学会等で発表した。現在さらに詳細な解析と論文化を進めている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 西野浩史: "古典的手法の再検討-よりよい逆行性染色技術-"比較生理生化学. 20・2. 108-111 (2003)

  • [文献書誌] Hiroshi Nishino: "Local innervation patterns of the metathoracic flexor and extensor tibiae motor neurons in the cricket Gryllus bimaculatus."Zoological Science. 20・6. 697-707 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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