• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実績報告書

放射線トレーサー法と微小電極法を相補的に活用した植物根イオン輸送機構の基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 19J22719
研究機関東京大学

研究代表者

小倉 尚晃  東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2022-03-31
キーワードナトリウム / イオン輸送 / 塩ストレス / マグネシウム欠乏 / 植物 / 放射線イメージング / イオンフラックス / 発現解析
研究実績の概要

植物の生育は環境中の元素濃度などの栄養条件に左右される。本研究では、農地において作物の生育に密接に関わる元素として、塩害の主要因であるナトリウム (Na) と光合成に必須のマグネシウム (Mg) に着目した。
ナトリウム蓄積による生育阻害を回避するために、植物は根から環境へNa+を排出できる。植物のNa+排出輸送体としてはSOS1のみが報告されている。しかしSOS1はその遺伝子発現部位から、根端という根の限定的な領域でのみNa+を根圏へ排出できるとされており、環境へのNa+排出が植物体のNa耐性に寄与するのかが疑問視されてきた。本研究では、植物の根でNa+がどのように根圏へ排出されるのか検証するため、放射線イメージングとイオンフラックス測定を組み合わせたイオン動態解析と、SOS1タンパク質の局在・機能解析を行った。イオン動態解析では、Na+がシロイヌナズナ根の成熟域から排出されることが判明し、このNa+排出がSOS1を介したものであることを示した。SOS1特異抗体を用いたタンパク質局在解析では、既報の遺伝子発現部位とは異なり、成熟域と根端の両方で根の全ての層におけるタンパク質の存在を確認した。さらに細胞型特異的にSOS1が発現する形質転換体を用いた機能解析により、根の内側の層よりも外側の層でSOS1が発現した場合に、根のNa濃度が低下し個体のNa耐性が向上することが明らかになり、SOS1が根圏へのNa+排出を通してNa耐性に寄与していることが示唆された。
マグネシウムは欠乏時に根においてMg2+吸収が促進されることなどが知られているが、欠乏応答の機序が明らかになっていない。本研究では、シロイヌナズナ根において最短30分間の低Mg処理によりMg2+吸収速度が促進され4日後まで維持されること、そしてこの吸収制御が既知Mg2+輸送体の遺伝子発現によらないことを示した。またMg欠乏応答として古い葉から新しい葉への栄養元素の再転流が促進されることを初めて報告した。

現在までの達成度 (段落)

令和3年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和3年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] University of Tasmania(オーストラリア)

    • 国名
      オーストラリア
    • 外国機関名
      University of Tasmania
  • [国際共同研究] Foshan University(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      Foshan University
  • [雑誌論文] Isotope-based visualization of element distribution in phloem provides functional evidence for the operation of SOS1 Na+/H+ exchangers in mature zones of Arabidopsis root2022

    • 著者名/発表者名
      Ryohei Sugita, Takaaki Ogura, Natsuko I. Kobayashi, Muhammad B. Gill, Lana Shabala, Tomoko M. Nakanishi, Sergey Shabala, and Keitaro Tanoi
    • 雑誌名

      bioRxiv

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1101/2022.04.29.489905

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Radioimaging and ion flux analysis identify sodium ion efflux sites in plant roots2022

    • 著者名/発表者名
      Takaaki Ogura, Ryohei Sugita, Natsuko I. Kobayashi, Tomoko M. Nakanishi, Lana Shabala, Sergey Shabala, and Keitaro Tanoi
    • 学会等名
      2022 AAAS Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] 細胞型特異的発現を用いたナトリウムイオン輸送体SOS1 の根における機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      小倉 尚晃,名兒耶 美緒,杉田 亮平,小林 奈通子,中西 友子,田野井 慶太朗
    • 学会等名
      第63回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] リアルタイムRIイメージングとイオン電極法を相補的に用いたシロイヌナズナ根からのナトリウムイオン排出部位の検討2021

    • 著者名/発表者名
      小倉 尚晃,杉田 亮平,小林 奈通子,Lana Shabala, Sergey Shabala,中西 友子,田野井 慶太朗
    • 学会等名
      第58回アイソトープ・放射線研究発表会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi